新型コロナウイルス問題 歯科治療はどう向き合うべきか?
キャンセルは? 通院は大丈夫? 長期化への賢い備え
いつもAQUA日本橋DENTAL CLINICのブログをご覧いただき誠にありがとうございます。
毎日、暗い気持ちになるニュースが多く心身ともにお疲れではないでしょうか?
当院のスタッフは、体調管理に細心の注意をして一人の体調不良者もなく今日も元気に勤務しております。
現在も新型コロナウイルス(COVID-19)収束の見通しがつかない状況ではあります。また、コロナ問題は、数年もしくは風邪・流行インフルエンザと同様に人類が永劫付き合わなかればならない問題である様相が強くなって来ました。 当院では、院長が代表を務めるIOS(包括的矯正歯科研究会)のメンバーと協力し、国内外の論文を精査しております。同時にIOS独自で調査を行い、少しでも感染症と戦う全国の歯科医院および患者様の力になれればと考え、我々の見解を配信させて頂く事としました。
*4月30日現在 日本歯科医師会が「今日まで歯科治療を通じて患者の中での新型コロナウイルスの感染は1件もない。」と発表しました。
*新型コロナウイルス(COVID-19)に関しては、現在のところ信頼性の高いエビデンスを得ることは出来ておりません。そのため、現在までの知見から出来るだけ迅速かつ信頼性の高い情報収集が求められます。
また、急速に状況が変化している現状において、我々の配信情報も適時更新されてしていく可能性も十分ございます。
何卒ご了承ください。
歯科医院って新型コロナウイルス(COVID-19)感染症防止について
安心できるの?
〜新型コロナウイルスや歯科に関わるインターネット・マスメディアの情報〜
現在当院には、多くの歯科医療関係者の方、マスメディア関係者の方から当院に新型コロナウイルス対策に関するお問い合わせを頂いております。TVなどのマスメディアやインターネット等では歯科に関する新型コロナ問題の情報が毎日のように出回っております。しかし、それらの情報は歯科医療特有の感染対策に関する知識を十分理解してる本来の専門家が見た場合には明らかに不安を煽るような不確実な情報である場合も少なくありません。そういった偏った情報によって、歯科医療従者やその家族は偏見にさらされる場合もあります。
*歯科医師以外の如何なる医師も歯科医療の専門家ではなく、医師は、法律によって歯科医療に関して治療行為を行うことは出来ません。
一方、患者様におかれましても、いつまでも終わりの見えないコロナ危機に不安を募らせて歯科の症状が日に日に悪化していく不安を抱かれる方も少なくありません。
新型コロナウイルスに関しては現状有効な治療法が見つかっておりませんが、世界各国からコロナとの付き合い方が示される様になって来ました。それらを踏まえて、長期的な視点で一層冷静な行動が求められます。
国民の皆さまから寄せられる感染症対策に関するご意見
〜歯科医院は新型コロナウイルスの感染リスクが高い?〜
当院に限らず、歯科に通院されている患者さまの中でも「歯科は口の中に触れることも多いし、他に比べて感染リスクが高い場所なのでは?」と考える方も少なくないかと思います。
アメリカでは先日「歯科医師や歯科衛生士は、職業的に新型コロナウイルスに感染する可能性が高い」との情報(※1)が発信され、多くの歯科医療従事者に衝撃を与えました。
その結果、一部の歯科衛生士や歯科助手がSNS等で不安を訴え、国民に大きな不安を与える事となりました。
歯科医療従事者が新型コロナウイルス感染リスクが高いとした情報とは?
当該報告の内容を精査すると
1)感染症に罹患するリスクは感染者との距離が大きな要因であるということ
2)仕事の特殊性(感染症と向き合う頻度)であるということ
上記2点の事柄が、歯科医師および歯科医療従事者が新型コロナウイルスを含めた多くの感染症へにかかるリスクの高い仕事であると推定された原因のようです。
しかし、このデータには歯科医院が普段から行なっている 当院での感染対策は、こちらです。
・使い捨てマスク・グローブの着用
・口腔外バキュームの使用
・滅菌管理
などといった感染症対策は考慮されておりません。
つまり、実際に新型コロナウイルスに感染した方が必ずしも歯科医療従事者が多いとは結論付けていません。
もし当該記事の内容が事実ならば、歯科医療に関わる方は新型コロナウイルスに限らず、すべての感染症にかかる確率も他の職業に比べて著しく高くなるはずです。確かに過去の論文では、現在推奨されているような滅菌操作等の感染症対策を行なっていない場合、歯科医療従事者はHBV(B型肝炎ウイルス)等の強い感染力を持った感染症に罹患する可能性が高いとの報告があります。ですが、多くの論文では【適切な感染管理を行なっていれば、かなりの確率で歯科医院での感染症を予防することができる】と結論づけております。
厳格な感染症対策を行う事は、歯科医療従事者自身の感染リスクを下げるためにも必須事項なのです。同時に、歯科医療従事者は、患者さんが保菌しているかもしれないウイルスからの感染の危険に晒されています。しかし、歯科健康保険は、医科に比べて手厚くありません。現在の限られた保険診療の予算では十分な感染対策を行うのは、とても困難です。歯科医院は、医科に比べてとても少ないコストで、最も過酷で危険であるといわれる環境の中で常に命がけで患者さんの歯を守っている事になります。 詳しくは、こちらもご参照ください。
緊急調査 都内歯科医院2500件の院内感染数
実際のコロナ感染で一般歯科開業のクリニックにおける院内感染数はどうなの?
院長が代表を務めるIOS(包括的矯正歯科研究会)では、某歯科ディーラー様からのご協力を賜り、都内の歯科医院 約2,500件を対象とした緊急調査を行いました。(※2)
5/11 更新
患者様から新型コロナウイルスの感染が報告されたクリニックは1件(罹患者:40代女性)
つまり 都内 開業歯科医院のコロナ発生頻度は 0.04%程度です。
1年間で日本人が交通事故にある確率は、約0.9%であるとの調査結果があります。(※3)
これらを比較すると、歯科医院内での感染率の低さをご理解いただけるかと思います。(※2)
ちなみに上記のクリニックは4月11日現在休診となっており、感染発覚から2週間経過してますが、同院のスタッフ、患者様には感染者は1名も出ていないとのことです。
また、その後の調査によると、上記の患者様はクリニックとは関係ない場所で感染した可能性が濃厚のとのことでした。
(もちろん、最終的には歯科医療従事者が一般の方や他の医療従事者と比べて感染率がどうだったかに関しては注目していく必要があると考えております。)
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4月24日 調査結果 更新
IOS(包括的矯正歯科研究会)から 神奈川県内の調査報告が届きました。
対象歯科医院数:663件
新型コロナ感染の医院:0件(全体の0%)
自主休診をされている医院:9件(全体の1.3%)
診療時間の短縮をされている医院:54件(全体の8.1%)
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*4月30日現在 日本歯科医師会が「今日まで歯科治療を通じて患者が新型コロナウイルスに感染した例はは1件もない。」と発表しました。この事から、歯科医院が際立ってハイリスクであるとした情報は誤っていた可能性があります。しかし、日本のPCR検査数の少なさから正確な患者数が把握できてない可能性もあります。つまり、我々歯科医療従事者は油断せず、国内外の信頼出来る論文を精査して万全の感染対策をして行って行く必要はあると考えております。
歯科医院でのエアゾールによって感染症に罹患する可能性はある?
歯科では、専用の機械で水を噴射し歯を削ったり、歯石を取ったりといった治療を行います。この際に発生するエアゾール(煙や霧のように微粒子が空気中に浮遊している状態のもの)が細菌を撒き散らすのではないか?といったご意見は以前からありました。特に、今回の新型コロナウイルス問題でより一層注目される事になったように感じます。
ここでも過去の報告において、3つの問題点に集約されます。
1)ハンドピース(切削器具)等の滅菌操作の不備
2)歯科ユニット(診療チェアー)内の水質の問題
3)唾液・血液を微量に含む可能性があるエアゾール
ここで新型コロナウイルスに関係するのは1)と3)であると思われます。
1)に関しては、ハンドピースの滅菌をしっかり行う事で解決出来ます。3)に関しては、文献等では、かなり微量で薄まってしまうので、感染症リスクは少ないのでは無いかとの考察があります。ただし、明らかな被害報告がないため不明であるというのが結論です。
以上から、我々の見解は「歯科医院が適切な感染管理を行い(以下参照)患者さんへ感染症に関する適切な情報の提供、協力を依頼し、感染症対策を徹底すれば、かなりの確率で感染症リスクを低下出来る」というものです。
◆エアゾール感染を防ぐために(※4)
1)新型コロナウイルスに感染した疑いのある患者様の治療制限を行う
2)治療前に1%過酸化水素水やイソジン等で患者様へのうがいを徹底する
3)術者は、マスク(N95もしくは、サージカルマスク2枚)ゴーグルの装着を徹底する
4)処置は可能な限りエアゾール が飛ばないような工夫を行う
5)診療は換気の良く、広い空間が確保される診療室で行う
(場合によっては診療人数の制限を行う)
6)確実な口腔内バキューム・口腔外バキュームを活用する
7)院内の空気清浄・消毒を徹底する
8)白衣等の消毒を徹底する
歯科医院の感染管理の徹底はもちろんですが、患者様のご協力が非常に重要となります。
医療物資の不足?実際は?
現在、ニュースで取り上げられている以上に歯科医療分野の医療物資が深刻な状況です。日本において、歯科医療分野で使用する物資は海外からの輸入に頼っております。しかしながら、今回は世界的な感染症拡大により、世界的に医療物資が不足している状況です。
当院では、取引企業様の努力によりなんとか備蓄をしておりますが、このままの状況が続くと今まで可能だった感染症対策が不十分となり、歯科医師や歯科医療従事者の感染リスクは高くなります。
このような困難な状況下においても、多くの歯科医療従事者が自らの危険を顧みず、患者様が感染しないよう細心の注意を払いながら必死で診療にあたっています。当院でも、現在治療を継続してくださっている患者様の感染を防ぐため、医療物資が限られている中で最善を尽くし診療をおこなっています。
色々と患者様のご希望・ご期待に添えない事もあるかもしれませんが、担当医や歯科衛生士、クリニックスタッフとご相談の上、今、出来る事を冷静に判断して頂ければ幸いです。
歯科医院への通院は自粛・延期・キャンセルした方がいいのか?
歯科の病気は【予防・早期発見・早期治療】が原則です。
一部では「歯科治療は自粛」との誤解を招く記事があるようです。こちら、正しくは「歯科治療を不要不急の要件と判断するかどうかは、患者様それぞれの治療状態によって異なる」「そのため、歯科医師と相談のうえ個別の対応」というのが現状です。(4/11現在、厚生労働省は歯科医院に対して休診を求めておりません。)
そのため、主治医へのご相談なく患者様がご自身の判断で治療を中断された場合に症状の悪化を招く可能性が高くなります。必ず、担当の歯科医師や歯科医院と相談の上で今後の通医院計画に関してはご相談してください。
とはいえ、前述のように歯科医院内での感染リスクは少ない反面、クリニックに向かう途中の道のりや日常生活内で感染症に罹患する可能性はあります。
通院中の感染症リスクの予防(マスクの装着・満員電車を避ける)や日常生活で人口密度の高い空間への立ち入りを避けるといった対策が患者様ご自身では難しい場合は、誠に勝手ながら通院の自粛をお願いしております。
その他にも、持病のある方(糖尿病、呼吸器疾患といった慢性疾患)さらに喫煙者においては治療自体がハイリスクな行為となるため、併せて通院の自粛をお願い致します。
*その他、風邪症状や季節性インフルエンザの症状が原因で体調が優れない方、肝炎やHIVの感染症の既往のある方は、受診前に必ずクリニックにご相談ください。
通院を一旦休止する患者様へお願い
もし通院を一旦休止する選択をされた患者様においては、お休みの期間中に症状が悪化しないよう、以下のようなセルフケアを推奨しております。
1)歯磨き、ホームケアを徹底して行いましょう
2)十分な睡眠とバランスの良い食事を取りましょう
3)規則正しい生活を心がけましょう
4)ストレスが増えると食いしばり等の症状が発生します。マウスピース等の使用を忘れないでください
5)ご自身のお体のために禁煙を心がけましょう
6)定期的に当院のHPのお知らせを確認してください
7)休止前に必ず次回のご予約を取っておいてください
*自粛期間が明けるとご予約が集中する可能性がございます。当院スタッフと相談のうえ、2〜3週間後を目安とご予約をおすすめします。(感染症の拡大状況によっては、再度ご予約の変更をさせて頂きますのでご安心ください)
*また、自粛期間中に、当院から健康状態の変化が無いか等に関してご連絡をさせていただく場合もあります。何卒ご容赦ください。
*現在全国的に深刻な医療物資不足の為、自粛制限が緩和された場合でも物資不足から止むを得ず診療制限が発生する可能性があります。
通院を継続する患者様へ
院内での感染症拡大を予防するため、体調管理を十分に行い、通院中にはマスクの着用をお願い致します。
4/11現在、都心は大幅な自粛が進み人口密度もかなり少ない状態です。そのため、通院中の道のりでも安全確保がしやすい状況であると考えることも出来ます。当院でも来院人数の制限を行なっているものの、比較的ご予約が取りやすい状況です。
*感染症の収束後の急激な混雑による感染症の再蔓延の可能性が危惧されます。また、現在、世界的な医療物資不足も深刻な状況です。感染防止の安全を確保はもちろん、分散通院も合わせてお願いしております。
お手数をおかけしますが、日頃の体調管理や通院中の感染症予防に注意した上でご来院いただければ幸いです。
万が一体調が優れない場合には、お気軽に当院スタッフまでご相談ください。
当院からのメッセージ
みなさま体調等を崩されておりませんか?当院のスタッフは、体調管理に一層注意し一人の体調不良者もなく今日も元気に勤務しております。
現在日本は、戦後最大の危機を迎えております。同時に、全国の歯科医院は歯科医療の崩壊危機(感染危機、物資不足、経営・財務危機など)も感じていることでしょう。
ですが、全国の歯科医療に携わる人々は、この危機を必死に乗り越えるべく力を合わせております。
そして、歯科医療従事者全員が今回の危機を通じ、国民へ安全・安心な歯科医療を提供するため今まで以上に徹底した感染症対策に取り組んでおります。歯科医療の存亡をかけて今まさに体を張って感染症対策に奔走しています。
今回の感染症問題は長期にわたる可能性があります。また、日本経済への影響も大きくなる事が想定されますので、自粛と緩和が繰り返すことになるでしょう。
皆様には、歯科医療分野が置かれている現状についてご理解いただくとともに、
今後とも、当院および日本の歯科医療に対するご理解とご協力の程何卒よろしお願い致します。
5月11日 当院ブログの最新号が更新されました
”コロナ時代で改めて気付かされた大切な患者様の存在” こちらをクリック
“歯の病気は感染だらけ? コロナ対策から学ぶ再感染リスクの少ない歯科治療とは?“
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当院の特徴はこちらになります。(初めての方はご覧頂ければ幸いです。)
https://www.teeth-alignment.jp/concept.html
宜しければ、当院の感染対策ページもご参照ください
https://teeth-alignment.jp/blog/academic-activities/338.html
【参考文献】
※1 :https://www.nytimes.com/interactive/2020/03/15/business/economy/coronavirus-worker-risk.html
※2:2020年5月12日時点 院長が代表を務めるIOS(包括的矯正歯科研究会)による東京都内の新型コロナ影響の緊急実態調査(協力 都内歯科ディーラー)
歯科医療従事者で感染したクリニック・・・1件(2,500件中)調査件数のo.o4%
自粛で休診しているクリニック・・・ 約0件(2,500件中)
診療時間の短縮しているクリニック・・・約500件(2,500件中)調査件数の20%
※3:https://交通事故慰謝料.cc/traffic-accident/probability/
※4:
1)Current Oral Health Reports (2018) 5:221–228Cross-transmission in the Dental Office: Does This Make You Ill?
2)口腔衛生会誌 J. Dent. Hlth. 49; 21-29,1999 男子歯科医師の死因別死亡率に関する研究
全面協力
AQUA日本橋DETAL CLINIC 感染症対策プロジェクトチーム
歯科衛生士 矢田(チーフ)、吉岡、藤分
IOS “Save The Japanese Dentistry” プロジェクト発起人
綿引(代表)田治米・榊原(副代表)行田、内藤、小野、高山、笹生、鬼塚、平沼、松田、鈴木
IOS(包括的矯正歯科研究会)
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