ガミースマイル

ガミースマイルとは

ガミースマイルとは、笑った時に歯茎が大きく見えてしまう状態のことです。
一般的に、上唇をイーの字に結んだ時に歯茎が全く見えない、または少しだけ見える状態が理想とされていますが、ガミースマイルの場合、上顎の歯茎が3mm以上見えてしまう状態を指します。

ガミースマイルの原因

  • 上顎骨の突出: 上顎の骨が前に出ていると、歯茎も前に出てしまいやすくなります。
  • 過剰歯肉: 歯肉が本来よりも厚く量が多い場合、ガミースマイルになりやすくなります。
  • 上唇挙上筋の過活動: 笑った時に上唇を上げすぎる筋肉の動きも、歯茎を大きく見せてしまう原因となります。
  • 唇の短さ: 唇が短いと、笑った時に歯茎が隠しきれなくなることがあります。
  • 歯の萌出異常: 前歯が過剰に萌出している場合も、ガミースマイルの原因となります。

ガミースマイルの治療法と成功に導くポイント

ガミースマイルの原因を正確に特定し、それに基づいた適切な治療を選ぶことが重要です。ボトックスや上唇の粘膜切除などの美容外科的な対応を安易に行うと、顔のバランスが崩れてしまうリスクがあります。
ガミースマイルの主な審美的な問題は、笑ったときに上顎前歯がどのように見えるかに関係しています。もし、安易な治療を行った結果、笑ったときに上顎前歯が全く見えなくなってしまうと、かえって審美的な問題が生じることがあります。
そのため、ガミースマイルの診査・診断と治療計画には、審美歯科と矯正歯科の専門的な対応が不可欠です。当院では、矯正歯科、審美歯科、そして歯周外科に対して専門的な対応を行っておりますので、安心してご相談ください。

ガミースマイルの診断の順番

審美的ガムラインとは

審美的ガムラインとは、歯肉(ガム)が歯を取り囲むラインの美的な配置や形状を指します。特に笑ったときに見える歯肉のラインが重要視され、審美的な歯並びや全体の口元の美しさに大きく関与します。

審美的ガムラインの主な要素

  1. 歯肉の対称性: 左右の歯肉が対称であることが重要です。特に、前歯の歯肉のラインが左右対称であることが、全体の美的感覚に影響を与えます。
  2. 歯肉の高さ: 歯肉の高さは、特に犬歯や中切歯、側切歯において重要です。犬歯の歯肉が最も高く、中切歯が次に高く、側切歯が最も低いという形が理想的とされています。
  3. 歯肉の厚みと質感: 健康な歯肉は薄く、ピンク色で、しっかりとした質感を持つことが望ましいです。これにより、歯の形や色との調和が生まれ、審美的な外観が向上します。
  4. スマイルラインとの調和: 笑った時に見えるガムラインは、スマイルラインと一致することが理想です。歯肉が過度に露出している(ガミースマイル)場合や、不均一なラインが目立つ場合には審美性が損なわれます。

当院が考える歯冠延長術の選択(綿引らのまとめより)

矯正学的適応(ガミースマイル・矯正圧下によってブラケットポジションが困難)補綴・修復的適応(フェルール・縁下カリエス等)

ガミースマイルを治療する際に指標とする上顎前歯審美基準

審美を評価するファクターの半数以上に軟組織が関与する

Cosletらによる受動的萌出不全(Altered Passive Eruption, APE)の分類

Cosletらによる受動的萌出不全(APE)の分類の図

Coslet GJ, Vanarsdall R, Weisgold A. Diagnosis and classification of delayed passive eruption of the dentogingival junction in the adult. Alpha Omegan 1977;70(3):24-28

  1. Type 1 subgroup A  術式:歯肉切除単独

    セメント-エナメル境(CEJ)と歯槽骨頂の距離は生理学的なもので、その領域に結合組織付着が存在する。歯肉境界線(MGJ)がCEJと歯槽骨頂よりも根尖側に位置する。

  2. Type 2 subgroup A  術式:歯肉整形+APF

    CEJと歯槽骨頂の距離は生理学的なもので、その領域に結合組織付着が存在する。MGJがCEJ上あるいは歯冠側に位置する。

  3. Type 1 subgroup B  術式:歯肉切除 + F-OPE+骨外科

    歯槽骨頂はCEJ上あるいは歯冠側に位置しており、結合組織が付着するための生理学的スペースが存在しない。MGJがCEJと歯槽骨頂に対して根尖側に位置する。

  4. Type 2 subgroup B  術式:歯肉整形 + APF+骨外科

    歯槽骨頂はCEJ上あるいは歯冠側に位置しており、結合組織が付着するための生理学的スペースが存在しない。MGJがCEJ上あるいは歯冠側に位置する。

歯冠延長術

歯冠延長術(歯肉切除+骨切除)

Type 1 subgroup B  術式:歯肉切除 + F-OPE+骨外科

ガミースマイルの治療例(1)

症例.1

年齢

20代女性

主訴

ガミースマイルの改善

精密診断の結果

上顎前歯の一部先天性欠損と
上顎前歯の前方の過度な前方位と
上顎前歯の歯の形態不良に起因するガミースマイル

治療内容

矯正治療
上顎前歯欠損部にインプラント
上顎前歯のラミネートベニア修復

治療期間

矯正3年、その他2年

治療費

250万(税別)

Before

After

Before

After

ガミースマイルの治療例(2)

症例.2

年齢

20代女性

主訴

矯正治療後にガミースマイル改善を希望

精密診断の結果

歯肉の形態及び歯冠形態の不良に起因するガミースマイル

治療内容

歯冠長延長術
上顎前歯のラミネートベニア修復

治療期間

約1年

治療費

100万(税別)

術前

術後3M

歯冠延長術後6M + ラミネート2〜2
鬼塚作

歯冠延長術後6M + ラミネート2〜2

術前

初診

矯正後
歯冠延長術前

歯冠延長術後+ラミネート2〜2
6M