東京日本橋AQUA歯科・矯正歯科 包括CLINICです。今回は、矯正治療(オルソドンティクス)と歯周病治療(ペリオドントロジー)を統合した専門分野、「オルソ・ペリオ(歯周矯正治療)」について解説します。
なぜ矯正治療において歯周組織の管理が必要なのか
これまで、健康な歯周組織であれば矯正治療による悪影響はないと考えられてきました。しかし近年の研究では、たとえ健全な歯周状態であっても、歯を動かすことによって歯肉退縮などのリスクが生じることが世界的に認識されるようになっています。特に、遺伝的に歯茎が薄い方(Thin Phenotype)や、歯が密集している部位では、歯肉退縮のリスクが高いことが明らかにされています。
「オルソ・ペリオ(歯周矯正治療)」は、こうした矯正治療中に生じうる歯周病リスクへの対策を行う、比較的新しい治療分野です。歯周病の管理と矯正治療を組み合わせることで、歯周病のリスクを最小限に抑えながら、美しい歯並びの実現を目指します。
矯正治療を希望する成人の多くが歯周病を抱えている
歯周病は、成人の80%以上が罹患しているとの報告がありますが、矯正治療を希望する成人においては、この問題がさらに深刻であることが指摘されています。海外の学会で発表された調査では、30歳以上で不正咬合を持つ患者様の実に半数以上が、中等度から重度の歯周病を有しており、医学的な介入が必要な状態にあることが明らかになりました。
この事実は、矯正治療を希望する成人にとって、治療を始める前の十分な歯周検査と歯周治療が不可欠であることを示しています。歯周病をそのままにして矯正治療を進めてしまうと、歯の健康に回復不能な影響を及ぼすリスクがあります。
オルソ・ペリオが対応する領域
オルソ・ペリオという専門分野が扱う範囲は多岐にわたります。
- 歯周病をお持ちの患者様の矯正治療
- 矯正治療中に発生する歯肉退縮への治療と予防
- 矯正治療中に悪化しやすい歯周組織の健康管理
- 矯正治療の前・中・後それぞれの段階におけるインプラント治療との連携
- 歯を支える骨(歯槽骨)に配慮した、後戻りの少ない矯正治療
治療後の安定と歯周組織の関係
矯正治療において、最も重要なことの一つが「治療後の安定」です。歯を支える骨(歯槽骨)の厚みは、この安定性を保つうえで大きな役割を果たします。特に下顎の前歯部分は歯槽骨が薄いため、歯肉退縮や治療後の後戻りが生じやすいことが知られています。つまり、矯正治療後の歯並びの安定と、健康な歯周組織の維持は、切り離して考えることができない密接な関係にあります。
歯茎や歯槽骨が薄い方、叢生の状態にある方、前歯の突出が目立つ方は、抜歯・非抜歯にかかわらず、時間と費用をかけた治療の結果が維持されにくい可能性があります。こうした方には、オルソ・ペリオの視点からの予防策や対処法が特に重要になります。
当院におけるオルソ・ペリオへの取り組み
当院では、すべての矯正治療患者様に対して、歯周病に罹患している可能性を常に念頭に置き、歯周精密検査、歯周治療、歯周管理を提供しています。矯正治療は歯並びの改善だけでなく、歯周組織の健康を長期的に維持することも大きな目的の一つと考えています。
矯正治療と歯周病治療は、これまで別々の専門分野として発展してきた経緯があります。そのため、両者が十分に連携しないまま治療が行われると、想定していなかった歯肉退縮や後戻りといった問題につながることがあります。当院では、矯正治療と歯周病治療を同じ医院内で一体的に提供することで、こうした連携不足によるリスクを最小限に抑えることを目指しています。
こんな方はオルソ・ペリオの視点からのご相談をお勧めします
- 歯茎が薄い、または歯肉退縮を指摘されたことがある
- 過去に他院で矯正治療を受けたが、治療後に歯茎の状態が悪化した経験がある
- 叢生や前歯の突出があり、矯正治療を検討している
- 歯周病の診断を受けたことがあるが、矯正治療も検討したい

まとめ
矯正治療を検討する際、歯並びの見た目だけに注目しがちですが、実際には歯周組織の状態が治療の成否や、治療後の安定性を大きく左右します。オルソ・ペリオという専門分野の視点を取り入れることで、見た目だけでなく、長期的な歯とお口の健康を見据えた矯正治療が可能になります。