学術活動

2024.10.23

オーラルフレイルとMFT


はじめに

近年「フレイル」という言葉が一般的になってきました。「フレイル」とは加齢により心身が老い衰えた状態をいいます。さらに「フレイル」の中にある「オーラルフレイル」という言葉がより注目されています。そこで今回は原因や症状、予防法について詳しく説明し、日常生活で気を付けるポイントを紹介します。また、オーラルフレイルの予防に効果的な「口腔筋機能療法 (MFT)」についても取り上げます。

オーラルフレイルとは?

オーラルフイルとは、加齢による口腔機能の低下や、それなりに伴う健康の悪化を指す概念です。健康と機能障害との中間にあり、可逆的であることが大きな特徴の一つです。つまり早めに気づき適切な対応をすることでより健康に近づきます。

オーラルフレイルの原因

オーラルフレイルは、歯の喪失や噛む力の低下、唾液の分泌不足など、口腔機能の停止が主な原因です。これにより、食事十分に咀嚼できなくなり、栄養状態が悪化するだけでなく、会話さらに、噛む力の低下や口腔乾燥は、認知症や筋力低下のリスクを高めるとも言われています。

オーラルフイルの初期症状

以下の症状に心当たりがある場合、オーラルフレイルが進行している可能性があります。

むせる・食べこぼす

・食欲がない・少ししか食べられない

・柔らかいものばかり食べる

・口が乾く・口臭が気になる

・滑舌が悪い・舌が回らない

・自分の歯が少ない・あごの力が弱い

予防のための日常ケア

オーラルフレイルの予防には、日常的な口腔ケアが非常に重要です。以下のポイントを意識して、口腔機能を維持しましょう。

定期的な歯科検診を受ける

歯科医師によるチェックを定期的に受けることで、歯や歯ぐきの健康状態を確認し、初期に異常を発見できます。

特に歯の喪失や虫歯の進行を防ぐことが重要です。

よく噛んで食べる

噛むことは、口の筋肉を鍛えるだけでなく、脳にも刺激を与えます。

噛む力が上がると、食事が単調になり、栄養バランスが崩れやすくなります。噛む回数を意識して食事を楽しみましょう。

口腔体操を取り入れ

口の周りの筋肉を鍛えるために、簡単な口腔体操を日常生活に取り入れましょう。

例えば、あいうべ体操(「あ」「い」「う」「べ」と口を大きく動かす)や、舌の上下左右運動などが効果的です。

唾液分泌を増やす

口が乾燥すると、口腔内の健康状態が悪化します。

ガムを噛む、水分補給をこまめに行う、酸味のある食材を摂取するなど、唾液分泌を補う工夫をしましょう。

バランスの取れた食事を一つ心掛けて

栄養不足はオーラルフレイルを進めさせる取り組みのです。

タンパク質やビタミン、ミネラルを豊富に含む食材をバランスよく摂取し、全身の健康を見極めましょう。

オーラルフレイルとMFT

ここでオーラルフレイル予防に効果的なアプローチのひとつが上記にもあるように口腔体操、つまりMFT(口腔筋機能訓練)です。以前のブログでも少しご紹介しておりますが、改めて解説していきます。

MFTは、舌や口腔周囲の筋肉を鍛え、正しい機能を回復させるトレーニングです。矯正治療の補助効果としても期待され、口腔機能の向上に大いに役立ちます。特に幼少期からトレーニングをすることで口周りの筋肉などの機能を正しく導き歯並びを守り、身体の正しい成長を促します。

MFTの内容

MFTには主に3つの要素があります。

1.個々の筋肉の訓練

  舌、唇、咀嚼筋など、それぞれの筋肉の機能改善をはかります。筋肉の力を強めるだけでなく、

  緊張しすぎている筋肉をリラックスさせ、全体的に調和のとれた状態を目指します。

2.咀嚼・嚥下・発音・呼吸の訓練

  これらの動作をする際、口腔周囲筋がかける筋圧を適正化し、正しく動作ができるようにします。

  それと同時に、歯並びの悪化を防ぎます。

3.唇と舌の正しい姿勢位の訓練

  リラックスしたときに「唇と舌がいつも正しい位置にある」ことを目指します。

  「正しい位置」とは「筋肉が歯並びに悪影響を与えない位置」です。

これらの要素のうち、特に「唇と舌の正しい姿勢位の訓練」は、歯並びに大きな影響を与えるとされています。矯正治療でも舌のトレーニングは多く取り入れられています。

MFTの具体的なトレーニング内容

MFTでは、専門の歯科医や歯科衛生士が指導する簡単なエクササイズを日常的に行います。例えば、以下のようなトレーニングがあります:

舌の位置を改善するエクササイズ

 正しい舌の位置は、上あごに軽く触れる状態です。

 舌を正しい位置に沿って練習を行い、舌が前に突き出る癖を修正します。

・口唇閉鎖トレーニング

 唇を閉じる力が弱い場合、口を閉じる筋肉を鍛えるためのエクササイズが行われます。

 例えば、口に軽い抵抗をかけながら唇を閉じる運動などもあります。

飲み込みの練習

 正しい飲み込み方を習得するための練習も行います。

 これは、舌が前に出さないことを目的としています。

口の周囲の筋肉を鍛える体操

 顔や口の周りの筋肉を鍛えるための運動も取り入れられ、顔全体の筋肉のバランスを整えます。

まとめ

オーラルフレイルは、放置すると生活の質を大きく損なう可能性がありますが、日常ケアと正しい予防策で進行を防ぐような可能性があります。ことを習慣にして、健康な口腔機能を維持しましょう。 高齢者になっても、元気に食事や会話を楽しむために、オーラルフレイルの予防に取り組むことを大切にしています。

【参考文献】

https://www.jda.or.jp/enlightenment/oral/about.html

・https://www.ios-public.com/meeting

https://aqua-kyousei.com/blog?id=2255:MFTケースプレゼンテーションについてのレポート

・イラスト出典:公益社団法人 日本歯科医師会