当院では、綿引院長が考案した「DIPコンセプト」を核に開発された、AI搭載の次世代包括的矯正歯科治療支援システム「DIP Ceph」を導入しています。近年、セファロ分析を用いた矯正歯科診断が大きく注目されています。特に、従来のワイヤー矯正治療だけではなく、アライナー矯正そして、補綴治療や義歯治療、審美修復治療などにおいても多くの分野での活用への期待が高まっています。
今回は、この「DIP Ceph」について、その概要と利点をご紹介いたします。
セファロ分析とは?
「セファロ分析」は、側頭部のX線写真(セファロ写真)を基に、頭部や顔面の骨格や歯の位置関係、成長の傾向などを調べる分析方法です。矯正治療や外科手術の計画を立てる際に欠かせない診断方法です。Downs法、Northwesten法、Tweed法など様々な種類があり、骨格構造の評価、歯の位置と傾斜の分析、成長予測、治療計画の立案、治療結果の評価などを行います。
セファロ分析を通じて、矯正歯科や補綴治療が本来目指していた顎顔面骨格に調和した上下顎骨・歯槽骨・歯の位置の相対関係を評価することで不正咬合の評価ができます。
セファロ分析の目的とは?
主に頭部や顔面の骨格と歯の位置関係を詳細に評価することにより、効果的な矯正治療や外科手術の計画を立てる為の重要な情報を提供することです。
1.骨格構造の評価 頭部及び顔面の骨格の形状や位置、顎の位置関係を評価する。
2.歯の位置と傾斜の分析 歯列の配置や傾斜を評価し、噛み合わせの異常を診断する。
3.成長予測 こどもや若年者の場合、顔面や顎の将来的な成長の方向や量を予測する為に使用される。
4.治療計画の立案 矯正治療や顎顔面外科手術を行う前に、具体的な治療計画を立てる為の情報を提供する。
5.治療結果の評価 治療の進行状況をモニタリングし、結果が計画通りであるかを評価する。
DIP法とは?
「DIP法(デュアルインサイザルプランニング法)」は、綿引院長によって発案されたもので、側貌セファロ分析を用いて矯正歯科学と補綴科学の診断を融合させ、上下額のインサイザルポジションを考慮した新しい治療計画方法です。
このDIP法に基づく治療計画は、矯正治療に留まらず、補綴治療や義歯治療にも適用可能で、口全体の治療(フルマウス治療)にも対応しています。
DIP Cephの特徴
「DIP Ceph」には、以下の3つの主要な機能があります。
DIP法(デュアルインサイザルプラン二ング法)
DIP法に基づく治療計画が行えるため、より正確で総合的な矯正治療が可能です。
フルスケールAIトレース機能
AIによる正確なセファログラムのトレースが実現。簡易的なトレースではなく、専門的な精度を求めるプロフェッショナル向けのフルバージョンを搭載しています。これにより、トレースの作業が迅速化され、日常診療においても高精度の診断が可能になります。
AI支援自動重ね合わせ解析機能
治療前後のセファロ写真を簡単に重ね合わせて解析できるため、治療の進行状況を正確にモニタリングし、目標に対する進捗を確認できます。この機能により、治療計画がより一層効果的になります。
まとめ
「DIP Ceph」は、デジタル技術とセファロ分析を融合させることで、より正確かつ迅速な診断と治療計画を可能にする先進的あツールです。簡便かつ正確にセファロ分析・治療計画を提供できるこのシステムは、矯正治療や顎顔面外科の分野で不可欠な存在となっていきます。
当院では、DIP Cephを用いることで、より多くの患者様に安全で効果的な治療を提供し、治療の質をさらに向上させることを目指しています。今後もこのシステムを活用し、患者様にとって最適な治療をお届けしていきます。
【参考文献】
https://www.quint-j.co.jp/articles/topics/5706