学術活動

2020.08.15

歯にやさしい虫歯治療法 M .I . 〜ミニマルインターベンション治療とは?


いつもAQUA日本橋DENTAL CLINICのブログをご覧いただき誠にありがとうございます。

東京では連日暑い日が続き、まさに夏真っ盛りといった様子ですね。

それと同時に、都内での新型コロナウイルスの感染者は未だ衰えておりません。

マスクを着用しての感染症対策はもちろん必要ですが、高温多湿の環境下でのマスク着用は熱中症のリスクが高くなる恐れがあります。

厚生労働省からも発表がありましたが、屋外で人と2m以上(十分な距離)が離れている場合はマスクを外し、こまめな水分補給を心がけるようにしましょうね。

 

さて、本日は当院で行なっている【M .I .治療】という虫歯治療についてご紹介をさせていただきます。

 


M.I. 治療法とはどのようなもの?

 

 今までの歯科治療は、虫歯によって細菌汚染されてしまった歯質を徹底して削り、虫歯が深い場合はさらに神経を取り、金属の詰め物や被せ物をかぶせて失った歯質を補うというものでした。

そのため、詰め物やかぶせものを入れるには虫歯の部位だけではなく周りの健康な歯も削らなければならず、状態によっては生まれ持った歯の大部分を失ってしまう、という治療方法だったのです。

現在はカリオロジー(虫歯学)の発展により、2000年『国際歯科連盟』によって提唱されたM.I.の治療法が大きく浸透してきています。

『M.I.』とは『ミニマルインターベンション(Minimal Intervention)』の略で、歯の治療においての歯質や歯髄への犠牲を最小限に抑え、本当に悪化したところだけを削除して修復するという治療法です。
従来の治療法とは異なり、出来るだけ歯を削らず出来るだけ神経を取らず、生まれもった歯を出来るだけ残して歯の寿命を長くすることをコンセプトとしています。

M.I治療を可能にしたのが、歯科材料および接着技術の向上です。

 


合着と接着の違い

 

 虫歯になってしまった部分を削る場合、失った歯質を補うべく銀歯やセラミックなどのつめものを詰めます。その際、歯と詰め物をくっつけるために「歯科用セメント」と呼ばれる接着剤を使用するのですが、その接着剤の材料が歯の寿命に大きな影響を及ぼしていたのです。

従来の保険診療での範囲での歯科治療では、「合着」という技法を使って詰め物や被せ物を歯に付けていました。

合着とはセメントを用いて歯と金属の間を埋め、その機械的な原理、摩擦力ではまっているだけであり、詰め物が歯と一体化している訳ではありません。

時間が経ちセメントが劣化し溶けてくると、歯との間に隙間が出来てきます。その隙間に徐々に細菌が浸入すると、つめもののまわりで新たな虫歯(二次カリエス)になってしまいます。そのため歯につめた金属は5,6年ほどでダメになってしまうのです。

現在は材料や技術が進歩し合着に代わり「接着」という技法が多く使われるようになりました。

接着とは、つめものと接着剤の化学的な結合(分子的結合力)によって固定する方法です。

最新の自費治療においては “レジンセメント” という接着剤を用いてセラミックを歯と一体化させてくっつけるため、隙間から細菌が浸入することがありません。そのため二次カリエスになりづらく、歯の寿命をのばすことが可能となるのです。

さらに接着の進歩により、今までつめ物が取れたり割れたりするのを防ぐために大きく削らなければならなかったケースも、新しい治療法により削る量を最小限に抑えることが可能となりました。

 

▼ダイレクトボンド

 

▼ラミネートべニア

 ラミネートベニアとは、歯の表面をごくわずかだけ削って、歯の色をした薄いセラミックを貼り付けて見かけを改善する方法です。歯の変色、歯と歯の間に少し隙間がある、生まれつき歯が小さい方におすすめの治療法です。

以前は歯の周り全てを削って、その上にすっぽりかぶせもの(クラウン)を入れるのが普通でした。ところが、クラウンをかぶせるためは特に問題のない歯を大きく削る必要があります。

ラミネートベニアは表面を0.3~0.5mmだけ削れば良いので、歯の神経にも影響を及ぼしません。

 

▼オクルーザルべニア

 奥歯においても同様です。従来では歯の周り全てを削って被せなければいけないような広範囲の虫歯や、酸蝕(さんしょく)症で歯が溶けてしまっている場合なども、削る量を最小限にとどめた詰め物で治せるようになりました。

【Before】 手前の小臼歯:銀歯の虫歯再発 奥歯2本:他院で入れた不適切なセラミック修復 (適合が悪く、セラミックと歯に隙間が生じている) 【After】 手前の小臼歯、奥から2番目:最新の接着によるオクルーザルベニア修復 一番奥:ダイレクトボンド修復(当院)によって歯と修復物に隙間のない理想的な接着によるMI修復をおこなった。

ただし、接着治療には注意も必要です。接着治療に用いられる歯科材料は水分が苦手なものが多く、唾液の水分にさらされると十分な接着が期待できなくなってしまうのです。

大まかに説明すると

 

防湿をしないで治療を行う

水分が入り接着しづらくなる

  • 詰め物が外れる
  • 境界部分に色が付く
  • 虫歯原因菌の再感染が生じる
  • プラークが溜まり、歯周病の悪化を招く可能性が高くなる

といったことが起こりえます。

より確実な接着のために、当院ではラバーダム防湿を用いて治療を行っています。


ラバーダム防湿法とは

 

ラバーダムとは、歯に装着するゴムのシート状のマスクのようなものです。
通常だと根管治療(神経、根の治療)に使用されることが多いのですが、当院では充填処置(虫歯治療)をする際にも活用しています。

ラバーダムを用いて患歯を唾液から隔離することで

  • 唾液による汚染を防止することできる(無菌的処置)
  • 唾液や呼気の中の水分から隔離することができ、薬剤や修復材などを良い状態のまま使用することができる(防湿)
  • 術野を乾燥状態に保つことできるため、強力な消毒剤を使用しても口腔粘膜を傷つけることがない(安全)

というメリットがあります。


 

いかがでしたでしょうか。【M.I. 治療法】は従来の治療方法とは異なり、患者様の口内環境を第一に考えた治療法と言えます。今回ご紹介した治療法は保険診療外ですが、治療の持続性や審美性を長い目で見た場合、圧倒的に有効と言える治療法です。

当院では患者様一人ひとり異なるお口の中の状況に合わせた治療をご提案しております。

ご自身の歯のお悩み事があれば、ぜひ一度ご相談ください。

 

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